とうもろこし

とうもろこしの栽培方法、育て方のコツ |八尾青山町キッチンファーム

よく太ったとうもろこしが収穫できました

甘いとうもろこしは子どもからおとなまで誰もが大好きですね。一般にスーパーで売られているとうもろこしは、野菜の分類では未熟とうもろこしに入ります。完熟して家畜のえさやコーンスターチなどの原料となるとうもろこしとは、野菜栽培上別の区分になるので、注意が必要です。
とうもろこしは「湯を沸かしている間に収穫するべし!」と言われるほど、鮮度が低下します。なんと収穫後1日足らずで1~2%の糖度が落ちるといわれます。なるほど、採りたてのとうもろしをすぐに湯がいて食べるとうもろこしは、本当に美味しいです。
とうもろしは強健で、育て方は簡単です。荒れた土地でも育つと言われているほどです。根が深く張るので固くなった畑の土を柔らくします。収穫後、茎、葉の残渣が大量に残るので堆肥の材料としても重宝です。連作もできます。
栽培しやすいとうもろこしですが、ちょっとしたコツが要ります。
八尾青山町キッチンファームの栽培方法を紹介します。家庭菜園の中でもとうもろこしは収穫し甲斐ある野菜と言えます。ぜひ、参考にしてください。

とうもろこしの種まきは3月10日前後に

ことしのとうもろこし作りがスタートしました。播種は3月10日前後を目安にしています。今年は、3月11日にとうもろこしを播種しました。

通常、大阪ですととうもろこしの播種は4月に入ってからです。

八尾青山町キッチンファームは、アワノメイガとコガネムシの被害が少ない6月中旬に収穫を目指しています。6月中旬の収穫ですと、殺虫剤を使う必要がありません。

3月10日ごろの播種ですとまだ地温が低いので、黒マルチビニールと透明マルチビニールで地温を上げています。

1か月前の2月11日、とうもろこし用の畝を準備しました。昨年とうもろこしを栽培した畝をそのまま使います。

黒マルチフィルムをかぶせたままでしたので、畝づくりは簡単に楽にすみます。マルチフィルムをめくり、畝の中央に三角ホーで溝を掘り、肥料を入れます。

有機肥料を主体にしていますので、綿実油粕ぼかし1mあたり4握、あと、過リン酸石灰1握と硫安1握です。

2月の寒い時期は有機肥料を入れても寒さで肥効が現れません。とうもろこしは発芽初期から肥料が十分効くことが大切です。

硫安は即の肥効を期待して入れています。

土を被せマルチフィルムを張れば畝の完成。マルチフィルムで約1か月間十分土を温めてから播種です。

元肥として、三角ホーで溝を掘り1mにつき綿実油粕を4握、硫安を1握、過リン酸石灰を1握入れる元肥として、三角ホーで溝を掘り1mにつき綿実油粕ぼかしを4握、硫安を1握、過リン酸石灰を1握入れる

 

深さ10センチの植穴に播種するのがポイント

3月11日にとうもろこしを播種しました。ポイントとは深さ10センチ程の植穴に播種することです。この時期の大阪は、まだ寒く、少しでも地温を確保するため植穴を掘って播種しています。私はのりの空き缶を利用して植穴を掘っています。すでにビニルマルチを張っていますので、ビニルマルチごと空き缶を畝にねじ込みます。10センチ程ねじ込んで引き上げると、きれいな植穴があきます。

マルチに深さ10cmの穴をあける(掘る)マルチに深さ10cmの穴をあける(掘る)

種は3粒を正確に植穴の底に置きます。

種は3粒を正確に植穴の底に置きます。この時期は露地栽培でぎりぎりの早播きです。とうもろこしの発芽適温は25℃と言われていますが、大阪では朝晩は5℃前後で発芽に適した温度ではないです。このため、確実に1株を確保するため3粒としています。とうもろこしはもともと発芽率は高いのですが、適温が確保できる4月中旬ごろまでは油断ができません。

植穴に3粒ずつ正確に置きます植穴に3粒ずつ正確に置きます

 

保温用の透明マルチを被せて完成

播種が終わったら保温用の透明マルチを被せます。保温と植穴への雨の流れ込みを防ぐのが目的です。3月初めは春の嵐、春休みのころは大雨が例年降ります。植穴がたまった雨の重さで塞がれないよう植穴の上にビニルロープを畝の端から端まで渡します。その上に透明マルチを張ります。マルチ抑えをマルチの端に差し込み、重しの土をかけます。要所要所に角材も置きます。雨、風には万全を期します。

植穴が雨で沈まないようビニールロープを張ります植穴が雨で沈まないようビニールロープを張ります

 

 

植穴に透明マルチをかけて完成植穴に透明マルチをかけて完成

 

一連の作業は晴れた日の1日で行う

植穴開けから透明マルチ掛けまでの1連の作業は1日で済ませます。晴れた作業のしやすい日を選びます。作業の途中で雨が降ってきたらその年の収穫は望めません。大変な作業ですがおいしいとうもろこしを期待しての作業です。

品種は大事! 土地にあった品種を探す。

私はタキイ種苗のキャンベラ86を播いています。タキイ種苗のキャンベラ86は古くからの品種で、寒さに比較的強く、強健で背丈は190センチ程度になります。根張りがよく倒伏に強いです。毎年キャンベラ86を播いているので、播種時期、肥料の量、追肥の時期など慣れています。別の新しい品種を試しましたが、栽培のしやすさからもキャンベラ86が一押しです。

付近にとうもろこしが栽培されていたらダメ!

とうもろこしは強健なイメージがありますがキセニア現象で付近にとうもろこしが栽培されていたら収穫は望めません。インカのとうもろこしのようになってしまいます。付近に市民農園などがあればとうもろこしの栽培はあきらめましょう。利用者が好き好きな品種を好き好きな時期にまくので、対応できません。きっと、市民農園ではとうもろこしは、収穫できないだろうなと思っています。青山町キッチンファームの付近では田畑が次々と住宅に代わり、市民農園もなくなりましたので、安定して収穫できるようになりました。

 

透明マルチをはがします

保温のために覆っていた透明マルチの下ですくすくと苗が育っています。窮屈そうになったので3月28日、透明マルチをはがしました。すべての植穴から発芽しています。抜群の発芽率です。欠株はありません。植穴に雑草防止のためのもみ殻を入れ周りの土を株に寄せます。

透明マルチの下ですくすく育った苗透明マルチの下ですくすく育った苗
マルチをめくり土を寄せますマルチをめくり土を寄せます

根を動かさないのがポイント

この時株と一緒に発芽した雑草が気になります。しかし、この雑草を抜いてはいけません。抜けばせっかく発芽したとうもろこしの根を傷めます。この時期のとうもろこしの根を傷めると以後の成長に著しい遅れが生じます。私は、以前にはとうもろこしを移植栽培で育てていました。ポットに種を播き確実に育った苗を畑に移植していました。移植するため欠株はないのですが、移植すると根が定着するのに1週間ほどかかり、その分成長が遅れ結実も遅れます。とうもろこしは収穫適期が遅くなると、コガネムシの飛来、アワノメイガの食害を防ぐため、どうしても薬剤を用いる必要があります。とうもろこし無農薬栽培のコツは、コガネムシの発生する前や、アワノメイガの食害に会う前に収穫することです。1週間の遅れが致命傷になります。一刻でも早く収穫するため、露地栽培ですと、黒マルチによる畝の加温、透明マルチによる保温、直播が必須です。

 

とうもろこしがすくすく育っています。4月7日は、間引きと追肥作業です。

間引きは残す苗以外の苗をはさみで切り取ります

一番成長のよい残して、他の苗を土際で切り取ります。決して引き抜いてはいけません。マルチを剥がした時の雑草と同じ理由で残された苗の根を傷めないためです。残した苗の株もとに土を寄せておきます。

1回目の追肥は硫安を1mに1握り

元肥でも入れましたが追肥で硫安を使います。マルチをめくり、株元から20㎝ほど離して、三角ホーで溝をつくり、そこに硫安を撒きます。硫安は窒素と硫黄を含む優れた昔からある肥料です。窒素と硫黄はたんぱくをつくる原料で、とうもろこしの葉っぱを大きくします。大きく美味しい実を収穫するためには、まず枝葉をしっかり作らないといけません。

間引き後のとうもろこし間引き後のとうもろこし
間引き前のとうもろこし間引き前のとうもろこし